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    「姉さんそれ本気なの?」   優しい 切れ長の目を見開いてそれだけ言うと、 ウルは姉を見つめて黙ってしまった。   ラピスとお揃いのグリーンの瞳が動揺している。     「ごめんね ウル。もう決めちゃったの。ウルは魔法や勉強の合間にお父様に付いて、政治を学び始めてる。私に出来る事は 皆の前で にこにこしているだけ。」   そして国の為に、 好きでもない誰かと結婚するのだろう。   「お母様が言ったように、色々なものを見て本当に優しい人になりたい。」   どうせ にこにこしてるなら 心からの笑顔でいたい。 ラピスの瞳に揺るがぬ決意の光が輝いている。         今まで何度 こういう事があっただろう――     こういう時、何を言ってもムダだという事を ウルは知っていた。 反対しても強行するし、 またその思い出は 数々の楽しい出来事として記憶に残っている。     溜息をついてウルは言った。     「…いつだって そうなんだ。姉さんは突然すぎるんだよ…」  
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