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鮮やかな黄緑色をなびかせて さやさやと草が鳴っている。
深く吸い込んだ風は
鼻の奥に澄んだ湿り気を残す。
夕暮れが近い。
ここに こうして座って
どのくらい時がたったのか――
視線の先には 一筋の雲を除いて 一羽の鳥の姿もない。
その雲もすでに視界の端の方から茜色に染まりつつある。
「何から話せばいいのかな…」
少女は木の幹にもたれ、物思いに耽っている。
彼女の名は
ラピス・アーシュリッド・サラガス。
昨年、王妃を亡くした
アーシュリッド国の姫である。
城内ではひそかにペガサスの姫、つまり じゃじゃ馬と呼ばれていた。
『思い立ったが吉日』
まるで本当に その背に翼があるかのような身軽さで
その歳になるまでどれほど周りをハラハラさせてきたことか。
そんな彼女、
昨晩思い立った一大決心を早くも明日 実行しようと企んでいた。
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