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「ラピス姫さま、ご機嫌麗しう存じます」
右手を胸にあて深々と頭を下げる。
金髪に近い茶系の髪が夕暮れの光に映え、輝いている。
「もう、そ-ゆの止めてって言ってるでしょ ラウド!」
ラピスは口をとがらせた。
こんな小さな国で "姫" なんて呼ばれる事は少ないのだ。
幼なじみにそれを言われちゃ何とも心地悪い。
ラウドは笑って言う。
「ごめんごめん。でも実際、僕は庭師で君は姫なんだから間違ってないよ。」
ラピスは上目に睨んだ。
少しばかりふくれている。
ラウドと呼ばれた少年は、城お抱えの庭師を継ぐ アルフィス家に生まれた。
幼い頃から父親にくっついて城に出入りしていた彼は、ラピスにとって城外の たった一人の "友達" と呼べる存在になっていた。
最もラウドが抱く ほのかな想いに気付いてはいないのだが。
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