3人が本棚に入れています
本棚に追加
「お母様!!」
部屋に入ると ガネット王は大きなベッドの脇に膝をつき、
祈るように握り合わせた手を
眉間に押し当て泣いていた。
青い絨毯が敷き詰められた部屋
天蓋のレースの中 白い顔をしたリルダ王妃は横たわっている。
「お母様…ッ!」
駆け寄った母の呼吸はか細く 意識はない。
父の手が小さく震えている。
重く冷たいものが 足元からじわじわと這い上がる。
大好きな母が死へと向かっている…
その時 母の目がうっすらと開き、かすかに こちらを見ようとした。
力無いその手をガネットが握る。
最初のコメントを投稿しよう!