♻学園災が祭難⁉🌀

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「琳ー!こっち来てみろよ!」 窓側で暇を持て余していたクラスメイトが、にやにやしながら叫ぶ。 「あんだよ!くだらねーことならぶっ殺すぞ。」 桜花 琳(おうか りん)。 緑泉学園高等部芸能科2年。 琳はこの祭にある想いを秘めて、前年度以上に積極的に仕事をしていた。 その理由は言えないが、とにかく、重要なことだ。 「お前のマドンナがメイドやってんぜー!」 「ぶほふぅおぅぅ!!」 なんとも言えない奇声が、端正な顔立ちの琳から漏れた。 なんということだ…! 石壁 静(いしかべ しずか)。 緑泉学園高等部接客科3年。 その愛らしい顔立ちからファンも居るというあの静先輩が、静先輩がッ 「メイドさんなんて!!」 「なんか琳が言うと更に気色悪いな…。」 琳はクラスメイトを睨み付けるも束の間、再び静に視線を戻す。 あれはそう、俺が中等部に居て、先輩が高等部に入ったばかりの頃だった。 俺はちょうどその時、一人校舎裏で友達を待っていた。 高等部の恋実祭(レンジツサイ)に行こうと誘われたからだ。 今思えばあの時、本当に一人で良かったと思う。 「そこの君ー!」 人数は少なかったものの、俺ではないだろうと思いつつ、無視して、来る途中に買ったジュースを飲むと、ふいに足音が俺の後ろで止まった。 「はあ…なんで無視するのよー?」 その高等部の生徒は、ぜぇぜぇと呼吸をしながらも、訴えてきた。 「すんません。俺だと思わなくて…平気っすか?」 彼女はこくこくと頭を上下に揺すった。 当時の琳はまだ成長期を迎えていなかった為、彼女の顔の辺りしか身長がなかった。 「…良かったらどぞ。」 未だに荒い呼吸をする彼女に、俺は先ほどのジュースを突き出してみた。 「ありがとッ」 彼女は躊躇いもせずに受け取ると、半分あったジュースを飲み干してしまった。 「ふう…あ!うちメイドカフェやってるから、ぜひ来てくれない?でないと客が居ないって先輩が怒っちゃって。」 舌を出す仕草は、愛らしい彼女には似合っていた。 「ねッ!」 いきなり女の子特有の柔らかい手で掴まれたので、俺は途端に赤くなってしまった。 「で、でも、なんで俺!?他にも客はいるじゃないすか。」 琳はあからさまに焦っていた。 「えー。でも君かっこいいもん。」 飾りっ気のない誉め言葉と、彼女の微笑みで、俺の思考は止まった。
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