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―2008年8月30日(土)
―7:28 台東区・ごみ捨て場
東京都台東区のとあるごみ捨て場…そこに御門たちの姿があった。
「拳銃で心臓を撃ち抜かれ死亡…恐らく、こいつは即死だな」
「朝倉警部、被害者の身元は…」
「現在、新田が調べてます」
御門はゴミに埋もれるようにして倒れている死体を見つめた。
「この顔…どこかで…」
目を引くような金髪で耳に大量のピアスを通している若い男…
鼻の穴にもピアスを通している。
御門はその顔に見覚えがあった。
「もしもし、朝倉…なに?」
すると朝倉に電話がかかってきたようで、御門の方を見て額に汗をかきながら驚きを隠し切れない。
「どうした」
「秋葉原でも殺しがあって…陣内警部と山寺刑事が現場に…」
「そうか…」
別に珍しいことじゃない。
事件が重なることはよくある。
「しかし、問題なのは…被害者が拳銃で胸を撃たれて死亡していたということなんですが…
何か関係があるんでしょうか…」
「拳銃だと…?鑑識は?」
「こちらに向かってます。
……と、すみません、電話です」
今度は新田からのようで出た。
「新田か?何か分かったか?」
御門は死体に近づき、その場所に腰を下ろして死体を見つめた。
どこかで見たことがある顔をまじまじと見つめながら記憶を探り…過去のデータと照合した。
しかし、思い出せずに立つと…
「そうか、分かった」
朝倉は新田からの電話を切った。
「被害者の身元が判明しました」
「…何者だ?どこかで見たことがある顔なのだが思い出せん」
「長友浩之…フリーターですね」
「フリーターだと?」
「…ネットカフェやマンガ喫茶やガソリンスタンド…最近は花屋で働いていたようですね。
そんな奴が拳銃で撃たれるなんて…何というか世も末ですね。
何だか悲しくなってきますよ…」
御門は人さし指を顎に当てながら被害者の顔をもう一度だけ見た。
御門の考える時の癖らしい――…
「長友浩之…長友?」
記憶の片隅から探し出すと…その名前が自然に脳裏に溢れた。
「――そうか…思い出したぞ!」
やはり御門の記憶に違いはなく、ようやく長友浩之を思い出した。
しかし、その時…電話が鳴った。
「こちら山崎…伊達刑事か。
どうし…何…横浜で殺しだと?!」
この3件の事件が始まりだった。
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