兄の行方

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―10:15 帝都大病院 ボクたちは帝都大病院に来た。 どうして来たかと言うと…ここに入院している患者さんから依頼の手紙が届いたから。 「手続きしてくるよ」 病院ということで今回は依頼人の名指しで、ボクと誠也くんと由美さんと藍那さんと獅堂さん… そして、幸永さんが引率で来た。 「この依頼書…どう思う?」 「兄を探して下さい。詳しい話は直接お話しいたしますって… 日付と場所が書いてあるだけ…」 「差出人は北島沙希さん。 たぶん、女性だと思うけど…」 みんな、疑問を抱いている。 どうしてボクたちに依頼してきたのか…どうして手紙なのか… 退院してからじゃダメなのかな。 (どうしても今じゃなきゃダメな理由でもあるのかもなぁ…) 「手続きして来たよ。行こう」 ボクたちは依頼人のいる病室へ… ここが依頼人の病室…北島沙希という名札があるから間違いない。 中に入ると…そこには色素の薄い流れるような髪で遠くを見つめるような澄んだ瞳の少女がいた。 ベッドから体を起き上がらせて、こっちを見て柔らかく微笑み… 「こちらへどうぞ」 彼女に近づいてみるとボクたちを病室に呼んだ理由が分かった。 ベッドの脇に置かれてる車椅子を見たら嫌でも理由が分かる。 歩けないからボクたちを呼んだ。 「わたしが北島沙希です。 見ての通り…わたしは足が不自由なので手紙を送りました。 本当に来ていただけるなんて…」 「お兄さんを探して欲しいということでしたが…具体的には…」 「そうです。兄を探して下さい…じゃないと…このままじゃ…」 沙希さんはシーツを握り締めた。 「お兄ちゃんが殺される…!」 「こ、殺される…!?」 「殺される…とは穏やかではありませんね…お話し頂けますか?」 幸永さんはあくまで冷静に、沙希さんの涙を拭って微笑んだ。 これがモテる秘訣なのかな。 「…素敵…」 「あの~💧沙希さん?」 ときめいてる場合じゃないのに…いや、分からなくはないけど… 「あっ…すいません💦えっと…」 沙希さんは呼吸を整えた。 「お兄ちゃんは…」 「――邪魔するよ~ん」 そこにガラの悪そうな男性が… 「荒城さん…!?」 「荒城…ッ」 「これはこれは…」 藍那さんと獅堂さんの様子が… この荒城という男…何者なのか…
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