火炎

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「よくやった」 と、光秀は労った。そして、再び配下の兵へと視線を移した。 この中には妻子を持つ者もあろう、両親を養っている者もあろう。 壮大な夢をみる者もあろう、と考えながら光秀は彼らの顔を眺めた。 信長が消えたと同時に、ギロチンを止める役割をしていた紐も焼かれ、ギロチンが落ちはじめている。そして、順調に運んでいる光秀のシナリオでは、彼らは、この戦勝により死へと進むことになるのだった。 光秀と言えば本能寺での謀反の印象が強いために、悪者と評されているが、実際は部下から敬愛された人物であった。 優れた才知と手腕を持ち、人徳や義を重んじる人柄。 かつて落ちぶれた将軍を擁立(ようりつ)し、乱世を鎮め、永劫平和を建立(こんりゅう)しようとしたほど。 そんな光秀だったからこそ――。
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