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まるで信長が叫んでいるかのような、轟音をたてながら、本能寺が焼き崩れていく。
消え去ったかつての支配者。
そこには空席が生まれ、誰もがそれを狙って激戦を繰り広げるのだろう。
光秀に与えられた仕事は、その空席に秀吉を招くことだ。
事前の準備が功を奏すれば、秀吉が全てを掌握するだろう。
そのためには、ここで一つ、演技をしなければならない。
「よし、信長を討った!
誰か毛利の元へ駆けよ!」
光秀の叫びに配下の者たちは、
(なるほど、信長と敵対してた毛利と手を組み、羽柴を討つのか)
と、感心したが、光秀の思案は全く違う。
この密使こそが、秀吉への合図なのだ。
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