死にゆく余日

天王山

伊勢隊の突撃を見て、斎藤利三も出撃を叫ぶ。

「勇猛果敢な伊勢隊を見よ！
我らも遅れをとるな、伊勢隊を追い越し先陣を飾れ！」

「おぉぉ」

配下の武士たちも、恐怖心を掻き消すかのように、鬨の声をあげた。

これにより、伊勢隊・斎藤隊の合計4000の人馬が川を越え、羽柴軍へむかい突撃していく。

「…そうか。始まりおったか」

戦端が開かれた、との報告を受けた秀吉は、静かに発した。

秀吉の場所からもはっきりと衝突する場面が見えていた。

天下分け目の戦、二つの勢力は激突してゆく。