天王山

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掘秀政隊は中川・高山両隊の後詰へとまわる。 信長の配下であった秀吉軍の諸将にとって、掘秀政の名は重みが違う。 信長の側近として政治手腕を示し、各地を転戦し、毛利攻めでは秀吉の軍監であった。 その秀政が救援にむかうと、中川・高山両隊の士気は激しく燃え上がる。 伊勢隊のいきなりの突撃に、混乱し、浮足立っていた両隊は落ち着きを取り戻し反撃に転ずると、斎藤隊と伊勢隊は一挙に勢いを失した。 また、後方で冷静沈着に戦況を観察していた秀政は、山上へと進路を変えた。 山上には、中川・高山両隊を側面から攻めようとしていた、松田政近隊・並河易家隊が進軍している。 さきほどまで戦況を確認していた秀政は、松田・並河両隊の目的は察していた。 堀尾隊が先に山を登っていた。 「よし、堀尾隊に続け。後詰めとなれ」 秀政は家臣・堀七郎兵衛に伝えた。 「殿、お待ちください」 七郎兵衛は不安げな顔で告げた。
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