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少しの間笑い続けた秀吉だった。
その間も光秀は真剣な表情を一毫だに崩さなかった。
そこで秀吉は、笑いを止め、真剣な顔に急変した。
「しかし、それでは……」
光秀が汚名を背負ったまま、死んでしまう……、と消え入りそうな声で呟く。
「何。よきことよ…。
この身一つで世界を救えるならば、これ以上の幸せなど……あるまい!」
と、光秀は言い切ったが、悲しみを含んだ声音を隠しきれてない。
「明智殿、出来ぬ。
わしには出来ぬ……」
普段陽気な秀吉としては、珍しい弱り果てた声が、そう告げた。
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