嗚呼、どうして

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   「───えー、ですからここ  はこうなって─…」  ────カツン、カツン…  名前も知らない女教師が古典  の文法を黒板に書き列ねてい  く。正直言って、教え方が下  手くそだと思う。新任らしい  から、仕方がない。  俺はそれをノートにさっさと  まとめてしまう。暇になり、  窓から外を見る。窓際の席だ  から、授業中に外を眺めるの  は習慣になっていた。  今日もいい天気だ。心地良い  風が入り込み、ノートを何ペ  ージか捲った。  俺は溜め息を吐く。  ────終われ。  早くこんな授業、終わってし  まえばいい。  そうしたら……  「──…今日はここまで!試  験に出すから、覚えておくよ  うに!」  ああ、やっと終わった。周り  が一斉に語り出したりトイレ  に連れ出ったりする中、俺は  一人、次の授業の準備を始め  た。  
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