甘い甘い、逃走劇。

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   放課後の教室。  「はぁー…………」  氷帝学園男子テニス部の天才  ・忍足侑士はため息を吐いた  。  「オイ侑士ー!どうしちまっ  たんだよ?」  「あ、岳人…おったんか」  忍足の近くに居た向日が見か  ねて声をかけた。  「おったんか、じゃねーよ…  侑士、お前朝からずっと変だ  って!ため息ばっかだし」  「…………」  「てゆーかまだ帰らねーの?  今日、部活オフなのに」  今日は、試験前で部活はオフ  になっている。帰る準備万端  な向日に対し、忍足は帰るど  ころか席につき、頬杖をつい  て外を眺めていた。  「ちょっと…待っとる人がお  んねん」  「どうせ跡部だろ?」  「………おん」  忍足の恋人・跡部の名前を出  しても尚テンションが低い─  むしろその名前を出される事  で更にテンションが下がった  忍足に向日は問う。  「……悩んでるのも跡部関係  ?」  「…………!」  どうやら図星だったようだ。  向日はやれやれ、と微笑して  忍足の前の席に座った。  
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