甘い甘い、逃走劇。

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   言っていて恥ずかしくなった  のか、忍足の頬が心なしか赤  くなっていた。  “この顔、跡部に見せてやり  てー”  きっと跡部が見たらさぞかし  喜ぶだろう、などと考えなが  ら向日は更に忍足の話を聞く  。  「色々って?」  「上手く話せへんかったり」  「ふんふん」  「一緒におるとどうも恥ずか  しくて逃げてもうたり…」  「…………」  “侑士って、ホント…”  向日は率直に思った感想を言  う。  「乙女…っつーか乙男ですね  ぇ~侑士は!かーわい☆」  すると忍足は更に恥ずかしく  なったのか、完全に顔を赤ら  めて反論する。  「ちょっ…うっさいで岳人!  乙男とか言わんといて!」  「だってそうじゃんー」  「真剣に聞いてぇや」  「聞いてるって」  「……なあ岳人、俺…どうし  たらええと思う?」  「どうって…」  「このままやったら俺、跡部  に勘違いされそうな気するね  ん。俺が跡部んこと嫌っとる、  って…」  「侑士…」  ────ガラッ  その時、教室の扉が開かれた  。  
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