甘い甘い、逃走劇。

5/9
前へ
/55ページ
次へ
   「悪い、遅くなったな」  「「あ、跡部!!!」」  そこには噂の張本人─氷帝学  園のキングであり、忍足を目  下溺愛中の跡部景吾が立って  いた。  独占欲の強い跡部は忍足が向  日と二人きりで教室に居た事  に不満を覚えたのか、眉を寄  せる。  「…アーン?なんで向日まで  居てやがんだ?帰れお前。」  「ちょ、跡部ひっでぇ!…言  われなくてもわかってるって  の。帰ります帰りますー。」  向日は座っていた席から立ち  上がる。そして、思い出した  ような顔で、言った。  「あ、…侑士」  「?」  「さっきの話だけどさ、侑士  がやれるだけ努力してみりゃ  いんじゃねーかな」  「俺が…出来るだけ」  「そ。まあ、どちみち侑士が  怖がってるような事には一生  ならないと思うけどなー」  
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

102人が本棚に入れています
本棚に追加