甘い甘い、逃走劇。

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   跡部は二人の会話の意味がわ  からないのか、眉間に皺を寄  せたままだ。  向日は教室から出ようとした  。忍足が呼び止める。  「…あ、岳人!」  「?何、侑士」  「おおきにな」  向日はいたずらにニッ、と笑  い出ていった。  「じゃーな、バカップル!」  「おい向日!俺様は馬鹿じゃ  ねぇ!!」  “そうムキになるとこが馬鹿  やねんで、跡部…υ”  などと心の中でツッコミを入  れつつも、忍足の心は緊張し  ていた。  “俺…頑張らな…”  跡部はいつも忍足の目を見て  、はっきり「好きだ」と言う  。  “俺も今日は…言う!よっし  ゃ、言ったるで…!”  忍足の一大決心を知ってか知  らずか、跡部は忍足に話しか  けた。  「おい侑士」  「∑な、なんや跡部」  「景吾って言えよ」  「…あ、堪忍…景吾。何?」  「これからどうするんだ?こ  こで残ってテスト勉強するの  か?」  「うー…ん…どないしよ」  
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