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「ねぇ、彼、今度いつ来るって言ってた?」 私は、担当の看護士さんに聞いた。 「いつだろうね。」 サラッと言われて少しショックだった。 「早く来ないかなぁ。」 窓の外を見ながら、彼のことを思った。 私と彼は同じマンションの住人だった。 郊外の丘の上の眺望がいい10階建ての新築マンションは、賃貸だったが、上層階は競争率が高く、部屋が空くまで2階に住んで待ってくれという不動産屋との約束で、私は2階に住むことになった。 2年近く我慢していた矢先に10階に引っ越せることになった。 ドアベルが鳴った。 のぞき窓から見ると、知らない男性が、封筒の束を持ってドアの前で立っていた。 「すみません。203号室の者なんですが、出張から帰ってきたら、お宅の郵便物がこんなに入ってまして。お急ぎの郵便物もあったんじゃないかと思いまして。遅くなって本当にすみません。」 私の前の部屋の住人だというスーツを着た誠実そうな顔の男は、申し訳なさそうにしていた。 「わざわざ、ありがとうございます。」 受け取ろうとドアを開けると、男のコンビニ弁当がドアに当たり、袋から飛び出し無惨な姿になってしまった。 「すみませんっっ。そうだ!5分だけ待ってて!」
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