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残業を終え、部屋に帰るとドアノブに、紙袋と植木鉢の入った袋がかかっていた。少し、気味が悪かったが、恐る恐る紙袋をのぞいてみると、中には、昨日のお弁当箱と、そのお礼を書いたメッセージカードが入っていた。 「昨日は、ご馳走さまでした。すごくおいしかったです。貰い物なんですが、こういうの育てたことなくて、捨てるのもかわいそうなんでよかったら貰ってください。いらなかったら捨ててもらって構いませんので。」 私も育てるの苦手だが、育ててみようと思った。 「P.S.あんなに料理上手な彼女がいる彼が羨ましいです。」 30代後半の私に彼なんて何年もいないのに。 それから私たちは、挨拶を交わすようになり、いつしか付き合うようになっていた。会うのは、いつも彼の部屋だった。 「浮気してるのかな・・・。」 出張が多い彼の異変に気付いた。 朝、駅までの道で挨拶しても生返事。 「何だか避けられてる?」 何も思い当たるフシがない。 「怪しい・・・。」 胸騒ぎを感じた。
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