0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
残業を終え、部屋に帰るとドアノブに、紙袋と植木鉢の入った袋がかかっていた。少し、気味が悪かったが、恐る恐る紙袋をのぞいてみると、中には、昨日のお弁当箱と、そのお礼を書いたメッセージカードが入っていた。
「昨日は、ご馳走さまでした。すごくおいしかったです。貰い物なんですが、こういうの育てたことなくて、捨てるのもかわいそうなんでよかったら貰ってください。いらなかったら捨ててもらって構いませんので。」
私も育てるの苦手だが、育ててみようと思った。
「P.S.あんなに料理上手な彼女がいる彼が羨ましいです。」
30代後半の私に彼なんて何年もいないのに。
それから私たちは、挨拶を交わすようになり、いつしか付き合うようになっていた。会うのは、いつも彼の部屋だった。
「浮気してるのかな・・・。」
出張が多い彼の異変に気付いた。
朝、駅までの道で挨拶しても生返事。
「何だか避けられてる?」
何も思い当たるフシがない。
「怪しい・・・。」
胸騒ぎを感じた。
最初のコメントを投稿しよう!