序章

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ドゥヴァリアは凡夫だった かくも偉大な王の血を引きながらも、剣技や智力にその才を見出す事はできなかったのだ それを誰よりも間近で感じ、苛立ちを募らせていたのがトゥーリだった 彼女は兄とは違い、大陸一の美貌を持つ母の容姿と、建国王たる父の才能を色濃く受け継いでいたのである 明晰な頭脳と妖精の様な美しさ 何よりも剣技ですら自分に及ばないドゥヴァリアに、継承権が与えられた事が気に入らなかったのだ ―私の方が優れている トゥーリは王に何度も進言した 私こそが王にふさわしい――と しかし王が首を縦に振る事は 三年後に病で亡くなるその日まで一度も無かった そして王の死後 水面下で着々と準備を整えていたトゥーリが反乱を起こす 彼女の嫉妬の炎は、大陸を真っ二つに割る戦火となり燃え上がった 偉大なる建国の英雄が創り上げた平和は、僅か十数年で実の子供らの手により、崩壊の危機に陥ってしまう事となったのだ 【血の大戦】 後にそう呼ばれる戦によって
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