第一章

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(…突破なら女を盾に逃げられるか?いや、そんな甘い連中じゃないか…) 【プリヴィエート】の評判は、良くも悪くも“非情”である 人質など意にも介さないだろう 「ふん、まぁいい… おい、確保するぞ! 抵抗するようなら……殺れ」 隊長らしき人物の命令が飛ぶ 後ろに控えていた二人は左右に分かれ、挟むように標的との距離を詰める (……仕方ない) 男は選択した そして魔法を唱えるべく集中力を高める 「くそ! 《戦女の瞳》射抜くは――」 「――え?」 男は思わず集中を解く 自分の横に立っていた中年の男が、魔法の核となる《スペルワード》を口にしたからだ 「――孤高の《月》!」 魔法が完成し、中年男の真上に一抱え程の“火球”が出現する ――パン! 乾いた炸裂音が鼓膜を叩く (………馬鹿野郎) 頭に穴を開け、血を吹き出し倒れる中年男 (……正直すぎるだろ) 男は血溜まりに倒れる魔法使いに哀れんだ目を向け、そして炸裂音のした方へ視線を移す ――“銃” 魔法使いを“狩る”為だけに造られた黒鉄の凶器
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