第一章

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大陸の三分の二も占拠された頃 反乱勢力の驚異に晒される王都にも明るい話題があった ドゥヴァリア王の長男 チティリス王子が十五歳を迎え、王位の継承権を得る生誕祭が催されたのだ チティリス王子には歳の近い二人の弟がいるが、その中でもチティリスは群を抜いていた ―人格者で文武に秀でた大器 民の期待であり、希望としてチティリスは注目を集めていた そして何よりもその才能を喜び、誇っていたドゥヴァリア国王は早々に隠居を決め、国王の座をチティリスに明け渡した これが凡夫だったドゥヴァリア国王最大の英断だった事を、後の歴史が全てを裏付ける 『魔法には魔法』 戦に勝つにはそれしかない そう思っていたチティリスは、魔法使いを手に入れる策を練り罠を仕掛けた 幾重にも、幾重にも そして“罠”により九人の魔法使いを捕らえた時にチティリスは勝機を見た “智略”で、あの才女と名高いトゥーリを出し抜いたのだと そして待った チティリスは驕らず焦らず、ひたすらに機を待った 自尊心を傷つけられ、怒り狂ったトゥーリが隙を見せるのをただひたすらに そしてトゥーリの我慢が限界に達したのは四年後 その時チティリスはもう、七十を超える魔法使いを奪い、二百近い魔法使いを自国で抱えていた
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