この町で出会う

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…あれ…………そうだ家に帰らないと… 俺はとぼとぼと家に向かって歩く。 後ろからほんわかとピンクの輝きを感じる。 夕日だったのかも知れないが… 俺にはどうでもいい事だった。 「あ…れ」 誰も居ない…のか。 家に入れない…待つしかないのか 「…雨」 いつしか周り真っ暗になっていた。 雨まで降ってきた。 寒い……眠い 「…」 「た、大変です。 生きてますか」 「…」 「よいしょっと…何も忘れ物は無いですね」 「…」 彼女は部屋の前で佇み 今にも命の炎が消えかけた彼に温もりを そして小さな炎を冷たい雨から守った。 「…う…ここは」 天井が見える。 家…俺の部屋じゃ…ないか… 「起きました。良かったです」 「……ゆ、い?」 「あれ……湊くん?」 俺は北見 湊(きたみ みなと)親父の転機が終わりこの町に戻ってきた。 彼女、姫川 由(ひめかわ ゆい)は3歳年上の幼なじみである…が …一人暮ししてたんだな。 目覚めたら幼なじみがいたってまた不思議な話だ。 「…久しぶり」 「湊くんも……お茶いれますね」 「あれ……俺…」 「倒れてました。 心臓ドッキドキしました」 「…うーむ」 お茶を飲む。 頭がぼやけて思考がまとまらない。 朝…なのか。 「今何してるんだ?」 「明後日から先生です。 臨時講師です。 湊くんの先生です、えっへん」 「確か俺も春からあそこの学校に行くんだったよな」 って俺、女物の服何で着てるんだ? 「あ、服なら乾いてます。 何も忘れてないです、えっへん」 少し胸を張る由。 「……みた?」 「ふ、不可抗力です」 「………とりあえず家に帰るか」 「はい」
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