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そこには黒い猫がいた
でも、そう話しかけてみたものの、猫が喋るはずがない。そう思い、そこから離れようとした時だった
その黒い猫と目が合ったとたんに不思議な気持ちになった
……やっぱり、こいつが声の主……なのか?
俺は腰を猫の正面に下ろして、再び話しかけた
「俺のこと呼んでたの……お前なのか?何かして欲しいことでもあるのか?」
「なぁー」
「寒いのか?」
「なぁ……」
「そうだなぁ……。んじゃ、俺のマフラーでよかったらやるよ。クリスマスには2、3日早いけど、俺からお前にクリスマスプレゼントだ」
そう言いながら俺は、黒い猫に白と黒のチェックのマフラーを体に巻いてあげた
「んなー」
「えっお礼?んなもん要らないよ。今夜の夜は今年で一番寒いみたいだし、あった方がいいだろ」
「なぁー……」
「気持ちだけはもらっとくよ。ありがとな」
俺は立ち上がって家に向かって歩きだそうとした
「んなぁ、なぁー」
「ん?名前?俺は赤坂優希だよ。じゃあな」
俺は最後そう言って、再び家に向かって歩きだした
猫の言葉が分かりますか?って聞かれたら、答えはNO
残念ながら俺は普通の高校生だ
じゃあ、何でさっき猫と話が出来たのかって?
それは俺にも分からない……
ただ、なんとなく………本当になんとなくだけど、そう言ってるように感じたんだ………
「不思議なこともあるもんだな……」
そう独り言を呟きながら玄関の扉を開けた
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