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「………お兄ちゃん。香華ね、いっぱいやりたいことあったんだ。学校行って友達と遊びたかったし、お父さんとお母さんとお兄ちゃんと遊園地にも行きたかったなぁ。大きくなったらケーキ屋さんになってお兄ちゃんたちにケーキ作ってあげるの!!」
話している香華は本当に嬉しそうで、楽しそうだった
「でも………もう出来ないんだ。香華死んじゃったから……」
「香華………」
香華の言葉は俺の体を貫いた。まるで槍が体に刺さった気分だ
「でもいいの。お兄ちゃんが生きてるならそれでいいの」
そう言って香華は華のように笑った
「……ねぇ、お兄ちゃん。香華の最後のお願い聞いてくれる?」
「あぁいいぜ。俺に出来ることなら何でもしてやるよ……」
妹の最後の願いを出来ることなら叶えてやりたい……。そう思った
「ほんと?」
「勿論だよ」
「ありがとう!!
えぇっとね、お兄ちゃん。お兄ちゃんは香華の分までいっぱい生きて下さい。香華の出来なかったこといっぱいいっぱい経験して生きて下さい。約束だよ?」
俺は香華の手をしっかり握った。それはとても暖かかった。そして答えた
「………あぁ、約束するよ。もう死のうなんて絶対思わない。香華の分まで一杯生きるよ」
「約束だよ」
そう言って香華はまた華のように笑った
俺はこの笑顔が大好きだ……
「………そろそろ時間だね」
「えっ?」
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