君付

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文化祭の創作は、美大生には普段と変わらない節があります。 ただ創るものが課題か、好き勝手やるかの違いだけです。 そして僕は確かに知っていた筈なのです。 あいつを扱うときはとても心してかからなければならないこと。 やたら粘着質でやたら厄介な セメダインと言う名の。 座ったまま板の上に其奴を広げて、一息つこうと手を引きます。 気付いた時には後の祭りで。 「あ…?」 「え…?」 僕が上げた右手に、ぴったり吸い付いてきた君のロングスカート。 当然男性が女性のスカートに手をかける理由など非常に限定されてしまうもので… 「い…やあぁあああ!!!!!」 素敵にくっきりと赤い手形を頂いた後、 剥離剤探して三千里。 後で聞いたらスカートを掴んだまま俯き後ろを歩く僕の姿はさながら迷子のようで、かなり有名になってしまったらしく。 それでも何故か嬉しい僕は、やはりそうとう君に恋をしているようなのです。
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