再会

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思い出しながら松浦の顔を覗き込み、自分の胸が反応しないことに改めて今井は笑いそうになった。 きっと今回もこの顔で、仕事は中途半端なくせに、お客にはモテモテになることだろう。 お客といっても大半年寄りだけどね・・と、改めて名簿で乗客の年齢を確認しながら今井は窓のシャッターをあげた。 これから自分が背負う苦労のせめてもの仕返しだ。 こうしないと気持ちが収まらないことを働き始めてから知った。 小さな仕返し・・・これくらい許されるだろう。そう、恋も仕事も・・・。 松浦はちょっとだけつぶった目をしかめたものの、すぐにまた子供の様ないびきまじりの寝息を立て始めた。
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