再会

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諦めて今日一日の行程のしおりを読み返す。 松浦自身、自分の担当のツアーのくせに全く内容を把握していないから困る。 何度か痛い目に遭ったので、今では松浦が行動しないときに今井は自分が動けるように心がけているのだ。 それにしても松浦はアホ面で顔を上に向けて寝ている。 口はぱっくりと開いていて、脇からよだれが一筋垂れているのがみっともない。 入社したての頃、初めて見た松浦をかっこいいとさえ思ってしまった自分を今では呪いたい。 新入社員歓迎会で周りにとけ込めずにいた今井に優しく声をかけてくれたのが松浦だったのだ。
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