最後です

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「隙あり!」 「きゃ!」 急に祐司さんは私の事をお姫様抱っこをし始めましだ。 「ほら、どうだ? 恥ずかしいだろ?」 してやったり、とした顔で言ってくる祐司さん。 でも私はこんなのじゃ負けません。 「残念ながら、そんなものはちっとも恥ずかしくありません」 「何っ!?」 「むしろ、このままの状態を維持してください」 「むむっ、白凰院綾香、恐るべし」 「だがしかし! 俺にはまだ最終兵器があるのだ」 「最終兵器ですか」 なんでしょう? 最終兵器とは。 まぁどうせ大した事じゃないんでしょうけど。 「さすがの綾香もこれは無理だろ」 「いいえ、私に無理と言う言葉はありません」 「いや、無理だって」 「いいでしょう、その勝負受けて立ちます」 私は自信満々に答える。 「くっくっくっ、後悔するがいい」 祐司さんは、私の事をグッ、っと持ち上げました。 お姫様抱っこをしてもらっているので、持ち上げられた事により、祐司さんの顔が至近距離に…… そして…… 「綾香、愛してる」 そう囁かれました。 祐司さんの息が耳に掛かり、ゾクッっとする私。 こ、これはかなり…… と思っているとまた…… 「綾香、愛してる」 ゾクッ! また耳に息が…… 「綾香、愛してる」 ゾクッ! 「綾香、愛してる」 ゾクッゾクッ! 「綾香……」 もう、これ以上は! 「あ~もう! わかりましたよ。私の負けです」 「よし! 勝った!」 嬉しそうに言う祐司さん。 私は私で悔しいですけど、何故か満足感が…… 「勝った事だし、このままどっか行こうぜ!」 「このままって、お姫様抱っこしたままですか!?」 「あれ? 別に恥ずかしくないんじゃないの?」 「くっ、べ、別に恥ずかしくなんてないですよ」 「じゃあ、行こうか」 祐司さんはニヤニヤしながら私を見ます。 ……覚えててくださいね、この屈辱、何億倍にして返しますから、祐司さん。 と同時に、私は思う。 こんな日々がずっと続けばいいのに、と。
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