綾香家で……

3/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「お嬢様」 「は、はい?」 急に執事に話し掛けられ、声が変になってしまった私。 落ち着いて、と自分に言い聞かし、改めて言い直す。 「はい、何か問題でもありましたか?」 「いえ、お嬢様に客人がお見えになられております」 「客人、ですか」 誰だろう? 私に用がある人なんて。 と、思いつつも、心のどこかではわかっていた。 「で、その客人と言うのは?」 「はい、祐司様でございます」 執事はニコニコしながら答える。 やっぱり祐司さんか。 私は内心嬉しかったけど、執事の顔を見て少し疑問に思う。 「どうしてそんなにニコニコしているのですか?」 「いえいえ、ニコニコなんてしていませんよ」 執事はそう言いながらも、まだニコニコしている。 ……気に食わない。 ここは執事としてのあるべき態度を促すべきだと…… 「お嬢様、どうなされまずか?」 私が黙っていると、執事は再度尋ねてきた。 「……少し待ってもらうよう言ってください」 「わかりました」 執事はそう言うとそそくざと部屋を出ていってしまった。 「……逃げましたね。あの執事」 帰ってきたらしっかりと執事の在り方をたたき込んてやる。 そう思いながら、私、山田ヨネもとい白凰院綾香は出かける準備を始めました。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!