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「お嬢様」
「は、はい?」
急に執事に話し掛けられ、声が変になってしまった私。
落ち着いて、と自分に言い聞かし、改めて言い直す。
「はい、何か問題でもありましたか?」
「いえ、お嬢様に客人がお見えになられております」
「客人、ですか」
誰だろう? 私に用がある人なんて。
と、思いつつも、心のどこかではわかっていた。
「で、その客人と言うのは?」
「はい、祐司様でございます」
執事はニコニコしながら答える。
やっぱり祐司さんか。
私は内心嬉しかったけど、執事の顔を見て少し疑問に思う。
「どうしてそんなにニコニコしているのですか?」
「いえいえ、ニコニコなんてしていませんよ」
執事はそう言いながらも、まだニコニコしている。
……気に食わない。
ここは執事としてのあるべき態度を促すべきだと……
「お嬢様、どうなされまずか?」
私が黙っていると、執事は再度尋ねてきた。
「……少し待ってもらうよう言ってください」
「わかりました」
執事はそう言うとそそくざと部屋を出ていってしまった。
「……逃げましたね。あの執事」
帰ってきたらしっかりと執事の在り方をたたき込んてやる。
そう思いながら、私、山田ヨネもとい白凰院綾香は出かける準備を始めました。
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