3人が本棚に入れています
本棚に追加
………
……
…
卒業式が終わって数日後……
突然祐司さんが私の家を訪ねてしてきました。
急な事でびっくりしましたけど、私も会いたかったので、嬉しかったです。
そしてそこで祐司さんが……
「綾香」
「どうしたんですか? そんな深刻な顔して」
「やっぱりさ、仕事、忙しいか?」
「仕事ですか?」
「ああ」
「確かに忙しいですね。夏に向けて色々とやらなければいけませんし」
私が本当の事を言うと、祐司さんは少し残念そうな顔をしました。
「やっぱり、段々会えなくなってくるのか……」
「会えなくって、別に会いたい時に会いにくればいいじゃ……」
「そう言うわけには行かないだろ? 仮にもお前は、大企業の社長なんだから」
「そうですけど、でも」
「……」
私はその言葉の続きが言えませんでした。
なぜなら、会えなくなると言う事実は、私自身が一番知っていたからです。
「……」
「……」
互いに無言になって、数秒……
祐司さんは私に向かって優しく言ってくれました。
「前みたいにさ、俺、ずっと綾香の事信じて待ってるから」
「例え何年間も会えなくても、ずっと信じて待ってるから」
「だから、さ、仕事、頑張れよ」
「祐司さん……」
ニコッっと笑ってみせる私。
「大丈夫です。もう祐司さんを待たせるような事は二度としません」
「でも綾香」
「絶対の絶対に待たせません。この白凰院……もとい、山田ヨネの名にかけて」
「綾香……」
私はこの時の祐司さんの顔は一生忘れません。
そして私は、私の事を一番に思っていてくれる人の前から、絶対に消えたりしないと。
そう、心の中で誓いました。
最初のコメントを投稿しよう!