第三話~蘭~

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第三話~蘭~

疲れた… マンションの踊り場で、壁を蹴りつけながら思いっきり舌打ちした。 もう嫌だ面倒くさい飛び降りたい。 マンションというより、ちょっと新しいだけの五階しかないこのアパートには、当然のごとくエレベーターなどついていない。 四階の自宅にいくまで、毎日この階段を上がらなければいけない。 別にうちが二階でも三階でも気分にたいした違いはない。 階段を上るという無意味でくだらない行為に、私はほとほとうんざりしているだけだ。 三階まで上がりきると、一番手前の部屋のドアをノックもしないで開けた。 .
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