第四話~沙夜~猫殺し

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華夜さんはにぼしを銀色のお皿にいれて、猫の前に置いた。 そのまま沙夜の隣にしゃがんで、にぼしにがっつく猫を嬉しそうに見ている。 優しい目だ。 華夜さんは猫が好きなのかな。 「このにゃんこ、飼ってるの?」 「多分、ノラ猫だと思うけど…いろんな所から餌を貰ってるみたい。うちに来るようになったのも、最近なの」 「ふぅーん…。名前、ないのかな?沙夜がつけようか」 「沙夜ちゃん、名前つけるの好きよね」 「そう?」 「金魚にも名前つけたがってたじゃない?」 「だって名前ないとかわいそうだよ」 ほんとは猫の名前も金魚の名前もどうでも良いと思った。 でも華夜さんがそう思っているみたいだから、そういうことにしておく。 居間に行くと、もう二人分のご飯が用意してあった。 今日も手伝えなかった。 ガッカリした。 なるべくお皿の周りを汚さず骨をはがせるように、焼き魚をつついたり裏返したりしていると、ニュースを見ていた華夜さんが思い出したように言った。 「そういえば沙夜ちゃん、昨日の夕刊読んだ?」 「ううん。見てない。なんか書いてあったの?」 「また猫が殺されてたらしいの。うちの近くで」 「またって?」 「去年にも何度かあったの。沙夜ちゃんが来る前に」 「ふぅーん…」 庭を見たら、まださっきの猫がいた。 部屋に上がっては来ないけど、沙夜の手元の魚をじーっと睨んでいる。 図々しい。 「猫殺し…」 声に出して言ってみた。 猫が聞いてるかと思って。 「そう。だから沙夜ちゃんも気をつけてね。田舎にも、変な人はいるのよ」 「うん……」 .
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