プロローグ?

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《ガシャ、ガシャ、ガシャン!!》 座っていた椅子からいきなり金属製の枷が飛び出し、俺の手足と胴が固定された。 オイオイ、いきなりどういうことだ!?これは!! 俺は、反射的にこんなことをしやがった元凶、だと思われる目の前の男を睨み付けた。 白髪で眼鏡を掛け、オマケに、まるで医者の様な白衣を身に纏った風貌の男。 男は掛けていた眼鏡を掌でクイッと上げる仕草をするとクックッと喉をならしながら俺の顔を覗きこんだ。 『フッフッフッ……。いやいや、まさかこんな良いタイミングで私の研究に最適な素体が手に入るとはねぇ』 心底楽しそうに、そして嬉しそうにそんなことをほざきやがる白衣の男。 ヤバい……こいつマッドか!? 正直こっちは嫌な予感と寒気しかないぞ!! 「な、なんだ!?あんた!!お、俺をどうするつもりだ!?」 俺がそう言うと、男はこれまた嬉しそうに、恐ろしく無邪気な笑顔を浮かべながら答えた。 『なぁに、そんな大したことじゃない。 ちょっと君の体を弄くって、その後に少々色々と埋め込むだけだ。何も心配はいらんよ?』 「なんじゃそりゃあっ!?つーか心配事しかねぇよ?!アホか!!んなこと言われて安心するやつなんかいねぇよ!! くっ、はなせえぇぇっ!!」 『安心したまえ、異世界から来た君は知らんだろうが、私はここベルカでは一番の天才魔導学者だ。 この程度の術式の手術なら一分とかからんよ。 さてと……それでは、さっさと済ませてしまおうか』 そう言うと、男は、何やら呪式の刻まれた手袋のような物をその手にはめた。 そして、俺の心臓の位置辺りにゆっくりとその手を伸ばし始める。 や、ヤバい!?ど、ど、どうにか逃げないと!! そう思い必死にもがく、 が、俺を拘束する枷は全くビクともしない。 『ほらほら、暴れるな。 直ぐ済むんだから』 まるで赤子をあやすかのように声を掛けてくるが、この状況ではその言い方は逆に恐ろしいわ!! 「や、やめろぉ!! シ○ッカー!?ブッ飛ばすぞぉぉ!!!!!?」 『ふむ、ここ……だな』 ズブリ、と身体の中にナニかが入ってくる感覚がした。 「ッッッ――――――――――!!!!!!」 瞬間、声にならない叫び声を上げ…… 俺の意識はプツリと途切れた……。
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