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昔々あるところに、お爺さんとお婆さんがいました。
多少家庭の実権がお婆さんに傾きつつも、二人は仲良く暮らしていました。
ある日のこと、お婆さんは山へ芝刈りに、お爺さんは川へ洗濯へと出かけました。
お爺さんが洗濯をしていると
川上の方からなにやら大きな籠のようなものが
どんぶらこ、どんぶらこと流れてきます。
お爺さんが籠を拾い上げると
ちょうどお婆さんがまさかりを担いで山から下りてきました。
お爺さんがお婆さんに事情を説明し、二人で籠を覆っていた布を取ってみると
中から玉のように可愛らしい女の子が出てきました。
そしてその側にはそっと添えられているひとつの桃。
お爺さんが状況を怪しんで戸惑っている間にお婆さんはまったく動じずに女の子を育てると宣言しました。
夫婦は桃にちなんで女の子に桃季(とうき)と名付け、愛情をもって育てました。
やがて月日は過ぎてき……。
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