赤ん坊はもう泣かない

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赤ん坊はもう泣かない

泡立っていてよく見えないが、ソフトボールほどの大きさの、肌色の頭があり水がかき混ぜられるとそれにくっついている肌色の肢体が引っ張られている。頭部にはうっすらと柔らかそうな産毛が生えており、一瞬だけ見えた瞳は瞳孔が開いていた。ぱっくりと開いた小さな口の中は泡がつまっている。青白い肌にはところどころ異様に赤いところがあった。その辺りの肌が裂けているのが判り、その赤い色が血であることがわかった。洗い流れていないことから、まだ洗い始めてまだ間もないのだろうと勝手に推測した――――
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