―情念―

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「待つしかないもの。 落ち着きましょう。」 私は、缶コーヒーを手渡した。 拓郎さんは、バツが悪そうに、私の横に腰掛けて、 ポツリと呟いた。 「慧の言ってた通りだな…」 「えっ」 「ガキ待ちの時間は、普通より、かなり遅く動く…って。」 「…そう。」 「そのときは、笑って聞いてたけど、マジだったみたいだ」 「慧、そんな事言ってたのね。」 「後、立ち会い出産はやめたほうが良いってな!」 「どうしてかしら?」 「ガキ出て来るところなんか、拝んだ日にゃ、 おそれ多くて、女、抱けなくなるって!」 拓郎さんは、子供みたいに、 可愛らしい、無邪気な笑顔をくれた。
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