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バレンタインデーには
チョコレートケーキを作って届けた
ケーキなんて、滅多に作らないから
何度も作り直し
でも
「友だちとかにも作ったから、おすそわけだよ」
と、シンに対して特別に作ったなどとは言わなかった
「うん 旨い」
と、いつもの様子のシンのままで
普通に食べてくれた
ホワイトデーの時には、琉璃の好きな紅茶の缶を貰った
帰ろうとした琉璃の後ろからシンが声を掛けたのだ
「ありがとう」
そう言った時に、泣きそうになっていた
歩いて帰る時
夜だったのが、救いだった
泣いていても、恥ずかしくは無かった
声を上げて泣く事は、出来なくても
涙を拭いながら、歩いていた
高さ10センチ程度の、小さな缶
ピンクのリボンが付いていた
高い物では無い事は
勿論判っていたけれど
それ以上の価値が、琉璃にとっては
その小さな缶の中に詰まっていた
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