wish:2 自殺願望を持つ少年

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澪が6限目の授業を受けていた頃。 彼の母親は夕飯の買い物に出掛けていた。 信号待ちの彼女に目を止めたのは、 悲運にも人間界に降りてきたばかりの悪魔だった。 「あの女の魂、美味そうだな」 ダークグリーンの長髪を後ろで結い、 きちっと袴を着こなす男、もとい悪魔。 やがて信号は青に変わり、 悲劇は起こった。 澪の母親が横断歩道の中頃に差し掛かった時――― ドンッ!キィィィィィ! 乗用車が突っ込み、はねた。 綺麗な放物線を描いて落下する。 景色がスローモーションで動いて、 周りが騒いでいる。 「      」 遠退く意識の中、発した言葉は声にならず 目の前が真っ暗になった。 「本来なら血肉も戴くところだが…」 まあいい、 呟くと、体を離れる魂を掴み喰らった。 「……ふむ、中々…」 ペロリと舌なめずりをして足元の救急隊を見る。 慌ただしく動き、当に魂のない体を担架に乗せ 救急車は最寄りの病院へ向かった。 「……暇潰し位にはなるかもしれぬ」 深緑の悪魔は嗤い、後を着いていった。
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