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「……え?今、何て…」
「……お前の、お母さんが事故に遭われた。
ほら、ここだ」
車を降り、入口へ向かった。
自動ドアにイライラする…
「あの!大宮です!!さっき母が運ばれて来ましたよね!?」
「息子さんですね?…ご案内します」
受付の女の人は、医者を呼んで
俺の事を話したようだった。
こちらを確認すると、
俺と先生を連れてエレベーターに乗り、
何故か地下1階のボタンを押す。
最悪の光景が頭を過り
扉が閉まる瞬間、袴姿の人と目が合った気がした。
病院へ向かう車内で女性の死を確認、
救急隊員はどこかの学校に電話をしていた。
話を聞いていると、どうやら
女の息子に知らせる為らしい。
救急車が病院に着き、悪魔はロビーに向かう。
ソファに腰を下ろし待つこと十数分。
学生服の少年が慌ただしく横を通り過ぎていった。
ふわりと流れる空気と共に
つい最近嗅いだ覚えのある香り。
「同じ血の匂い……」
受付で喚いてエレベーターに
乗り込んだ少年を目で追っていると
視線がぶつかった。
「あやつからは強い願いが聞こえる。
くく…どうやら契約まで出来そうだ」
愉快極まりない。
暇潰しにもなるし、なにより
上手くいけば今日は魂を二つも喰らえるのだ。
込み上げる笑いを堪え
ペロリと舌なめずりをすると
溶けるように姿を消した。
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