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漆黒の闇と煮えたぎる血の海、
そして紅蓮の炎。
ここは魔界…
中心部には魔王の居城が位置し
妖しげな雰囲気が漂っている。
昔のように召喚される事も少なくなった。
退屈を何より嫌う悪魔だが
召喚されなければ契約も出来ない。
人間界への悪戯…
―人間からしたら
悪戯というレベルではないが―
も、飽きた。
地獄へ堕ちた魂は喰えるものの、
下等な魂は不味い。
(どうしたものか…)
こういう時、下級悪魔はいい。
言葉を理解出来ず、喋れない上に
人間に
“ちょっとした”
悪さをするだけで
満足している様な連中だからだ。
「退屈とは恐ろしいものだ」
「えぇ、まったく」
―このように下らない事まで
考えてしまうのですから
悪魔達が辟易としていた時、
魔界の森に、ある変化が起きた。
一本の樹が人間界へ通じたのである。
「これで退屈ともおさらばだぜ!」
暇をもて余していた彼らは、
金髪の悪魔を筆頭に嬉々として
人間界へ通じる樹へと消えた。
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