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はいはい、そう受け流す言葉に
ムッとして言い返す。
「じゃあ俺がこの部屋に入れたり
あんたに触らずに口をきけなくしたのは
どう説明するんだ?」
「それは…でも悪魔なんて…」
半信半疑な少女に、
悪魔はポンと手を叩いた。
「おい!よーく見てろよ」
顎で薔薇が生けてある花瓶を示す。
首を傾げながらも少女の目線が
花瓶に向いたのを確認し…
ボォッ!!
燃やした。
「!?えっ!えぇっ!?」
「な!嘘じゃねぇだろ?
つーか悪魔は嘘吐かねぇんだよ!」
…例外もいるけどな、
ぽつり、呟いた声は
少女に届かない。
放心していた少女に声をかけると、
ハッと我に返ったように肩を揺らした。
「…分かった。信じる。
で、悪魔が私に何の用なの?」
「あ、それなんだけど、
あんた俺と契約しない?」
ん?とウインクして見せると、
少女の雪の様な頬に紅が差した。
「いいよ。どうせもう永くないんだし」
自分の運命を知る少女の笑顔は
どこか哀しげだった。
「そんな事より、
私はあんたって名前じゃないの。
優よ。永田優」
「あぁ、俺はルークだ」
よろしく、握手を交わす。
握った手を離すと、
掌に逆五芒星と何やら呪文のようなものが
浮き上がってきた。
「はい、契約完了!
これからよろしくな、優!」
笑顔のルークと不思議顔の優。
意味に気付くと驚いて掌を見つめた。
「えぇっ?握手が契約なの?
それに掌になんか出てきたけど…」
何これ、
そう訴える瞳にニッと笑う。
「んー、話すと長いから
簡単に説明するけど…
まず、その掌のは契約書みたいなもん!
で、契約の方法は色々あるけど
俺は握手にしてんの」
――何、キスが良かった?
ばちん!!
ニヤニヤ笑いで優を見たルークの頬に、
真っ赤な手形が付いた。
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