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悪魔と契約して、一週間。
やっとお迎えが来たみたいだ。
初めて外に出た夜から
ルークは毎晩連れ出してくれた。
生きていてこの一週間が一番楽しかった。
笑って、笑って、笑い倒した。
もう後悔はない。
(ルーク、いる?)
(あぁ、ここにいるぜ)
ぎゅ、手を握る感触がした。
近くで医者や看護婦が
バタバタと忙しなく動く音がする。
『もういいから』
口に出したつもりの言葉は
ただ息となって出ていった。
(ルーク、ありがとね。
すごい楽しかった)
(俺は最後まで悪魔らしくねぇな)
笑いが込み上げた。
…何だか、体と心が矛盾している。
(何言ってんのー
今から私の魂取って食べちゃう癖に)
(まぁな!安心しろ、
キモチヨクはなっても痛くはなんねぇから)
(…バカ!!)
18年、短い人生だったけど…
最期に笑って逝けるんだから
私は幸せ者だよ。
皆、ありがとう
その言葉が脳裏を掠め、
最期は真っ暗になった。
満足気な表情を浮かべたルークが
闇の中を歩いていた。
「ふー、美味かった!
久しぶりにいい魂喰ったな~」
すれ違った自転車を見、
指を鳴らすとコントロールを失い
横から出てきた車と衝突する。
「さて、また“暇潰し”しながら
獲物を探すとするか!」
ニヤリと笑った悪魔は舌なめずりをし、
金の髪を揺らしながら
ネオンが煌めく夜の街に消えた。
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