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「いよっしっ!」
掛け声と共に荷物を持ち
立ち上がる九十九尾
「な…何じゃ一体…」
「悪い、涼歌!
『膳は急げ』だ!
目標へは一刻も早い方が
良いからな」
九十九尾は荷を持ち
走っている朧車の入り口に…
「何をする九十九尾!
まさか…」
「そ、そのまさかさ!
せー…の…」
ズザァァ!
九十九尾は走る朧車より
突如飛び下りた!
その様子に慌てて叫ぶ涼歌
「九十九尾!こら!
どこへいくのじゃ!
今日の泊まる場所は!」
「野宿は慣れてるさ!
涼歌は先に戻ってくれ!」
「こら!勝手な真似…タヌ…」
何も知らない朧車は
涼歌を載せたまま
ガタガタと走って行く
叫んでいた涼歌の声も
遠く霞んでいく…
「ふぅ…さてさて
これでゆっくりこの国で
商いができる…
涼歌の所だとあの
お付き(燕空)が
五月蝿そうだしな…」
身体の砂埃をパッパッと払い
辺りを見回す…
下り立った場所は人も疎ら
見せ物をするには
ちと物足りなさを感じる
「ん~…ここいらじゃ
パッとしねえな…
やっぱり人は多い方が
やりがいがある…と…」
ふと前に一人の妖怪が
畑作業を終えたのか
鍬を持ち歩いているのが
目に付いた
九十九尾は急いで近づき訪ねる
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