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その時、街中より
ズシンズシンと重い足音が響く
「お嬢、もう買い忘れは
ないですかね…」
「そうですわね…
お米も買いましたし
お野菜も…はい、これで
全部かと…あら?」
「お嬢、どうしました?」
「いえ…何かあそこに
人だかりが…何事でしょう?」
ズシンズシンと足音を
響かせていたのは
身の丈2mは有ろうかと言う
黒と赤の鬼2匹
そしてその前を行くのが
立烏帽子に軽装で豪華な着物
腰には3本の刀
鈴鹿御前の鈴である
観客達がワッと歓声を上げるが
背の低い鈴は人だかりで見えず
人々の後ろでピョンピョンと
飛び跳ねるのみ…
「お嬢…一体何を…?」
「あ…あの…私も
見たいのですが…
人だかりで…」
「ははあ…成る程
ではお嬢、こうしましょうか
失礼致しますっ!」
「キャッ!!」
鈴の隣の赤鬼は
鈴をヒョイと持ち上げると
自分の肩にストンと乗せた
「これで見えましょうか?」
「ええ、大丈夫です
ありがとうございます」
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