最後のページ

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僕はゆっくり桜色のペンを桜色のノートに滑らせた。 もうノートのページはない。 これが、最後。 僕はとても穏やかな気持ちだった 胸の中に、静かに風か吹いているかのような感覚。 淀みなく動くペンは、もうすぐ動きをとめるだろう。 そして、僕自身も。 どこからか桜の花びらがひらひらと舞い降りてきた。 風に踊りながらゆっくり落ちてくる花びらは、僕の肩に乗った。 (桜、か───────) 僕は、今までのほんのわずかな間 に起こったことを辿っていった。 あれは、確かとても昔のこと……
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