行間:アキラという男

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「……………何してるんだ」 若干身を引きながら、俺は室内にいる男に喋りかけた。 この猛暑の中、俺の同居人(激しく不本意だ。…繰り返す、不本意だ)は狭い一室に立てこもりクーラーを焚いている。 しかも、リモコンを拾い上げてみると10度になっていた。 どうクーラーを改造(もしくは飼い慣らすだな)と10度設定の部屋が出来上がるのか、俺はぜひとも聞いてみたかった。 「温暖化促進計画実行中?」 「頭がよく見えるかもという理由だけで漢字を使うなバカ。中学生か」 「ソレって中学生に失礼」 だるそうに俺を指差す。 なんだ、自覚あったのかと言ってやりたかったが自重した。俺は情け深いんだ。 そんな会話を交わした同居人、アキラはクーラーの風向がまさしくそこへ行くだろうところへ座り、ちゃんちゃんこをはおっている。 ついでに言うと、膝掛けを頭からかぶっていたりもする。 「理由は聞かない。今すぐ地球温暖化促進計画を挫折しろ」 「さもないと?」 「続きを聞きたいのか?」 「…………。遠慮しときまー」 「す。 わかったら早くちゃんちゃんこを脱いでクーラーを止めろ」 のろのろちゃんちゃんこから這い出したアキラはリモコンのオレンジ色のボタンを一度押し、ぶるりと震えた。 「どうしてあんなことしてたか聞かない?」 アキラは切り出す。 俺は即答。 「日本語が違う。聞いてほしいんだろ?」 「ほしーい」 ぐにょーんと両手を伸ばして、それはアピールらしい。 「聞いてやる」 「スタンプ~」 「スランプ?」 あえて突っ込まないんだ。 気付いてないわけないだろ? 「お前、そんなナイーブな質かよ」 「心はね」  
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