行間:アキラという男

6/7
前へ
/31ページ
次へ
ええと。 アキラの第一声はそこから始まる。 「服を着た猫」 「オムライスの上のパセリ」 「眠る人形」 「人形焼きとベビーカステラの違い」 「信号」 「面白いか? それ」 「そっちこそ。オムライスの上のパセリって変~?」 「変だよ。変」 「ケチャップご飯の上にケチャップのがよっぽど変だと思わない?」 「ん? それは普通だろ」 これはちょっとしたゲームだ。 アキラは面白いと思う物・事を挙げる。 俺は変だと思う物・事を挙げる。 そういうゲーム。 相手につられないよう、即答のタイミングで答える。 楽しいかと聞かれれば、俺は迷わず首を傾げる。 でも、アキラには楽しいらしい。 普通に論争するよりも、ずっと楽しそうに笑う。 「これかな~」 「ん?」 俺はアキラを見た。 「お前と喋るとやなことも忘れがちなのさ」 「そりゃよかった」 無感動なのは俺なりの友愛だと思ってくれ。 「ねえ、抱っこ」 「バカ」  
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加