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馬のいななきが薄暗い森に響いた。
馬上の人はいきなり暴れだした愛馬を落ち着かせようと、手綱を思い切り引く。
しかしそれは我を失った馬には無駄なこと。
手綱を引かれた馬は落ち着くどころか前足を高く振り上げ、走りだしてしまった。
ぐんぐんスピードを上げ森野奥へと駆ける。
流石俊足が自慢の馬だ。
周りにいた者達が慌てて馬で駆け、追い掛けるが追い付けるはずもない。
決してその者達の馬が遅いわけでも、馬術が拙いわけでもない。
立派な軍馬達なのだ。
だがその馬達の中で暴れだした馬は特別だった。
乗り手も勿論、特別な人物だった。
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