人語を喋る鶴

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その日も、瀬条 霜多は普通の日常を送るはずだった。 霜多は今年、高校二年生になる少年で、 その日も普通(?)にエロ本買って、 その日も普通に学校に登校して普通(?)に女子更衣室の中を覗き見をするはずだった。 …が、今日はいつもの日常とは違った。 「むぅ……」 瀬条家のリビングで白銀色の髪質をした少女が腕を前に組みながら口をへの字に曲げて、じっとこちらを睨むように見つめている。 「あの…なにか?」 こちらを睨みながら唸る少女に霜多は慎重に声をかけてみた。 「うっさいわね。ちょっと黙っててよね…考え中なんだから……」 少女がそう言うと、霜多の眉間あたりを睨み、むぅ……と再び唸りだした。 あきらかに敵意を持って睨んでいるように見えたが、なにか考えているようだった。 ちなみに、目の前にいる少女は『鶴』だ。 いや、元は鶴だったのか…? 擬人化? …にしては、見た目人間とは変わった所は見受けられない。……寂しすぎる胸を除いては。 彼女の正体については不明。 「決めたわっ」 すると突如、少女が勢いよくイスから立ち上がった。 「なにが?」 なにを決めたのかはなんとなく予想はついてはいたが、霜多はあえてとぼけてみる。 「なにがって恩返しのやり方よ!しばらくの間、あんたと同居してあんたの面倒をみてあげるわ。感謝しなさいよ」 びしっと指を差してそう宣告すると、えっへんと無い胸を張った。 「は?」 一瞬、少女の言葉の意味がわからず、霜多はきょとんとする。 「はァァ…!?」 しかし、 目の前の少女が言った言葉の意味を理解すると、ニコニコ顔の少女に続いて霜多も勢いよくイスからく立ち上がったーー
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